【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送った。米経済成長率は1〜3月期に鈍化したものの、会合後の声明では「景気減速は一時的で、経済活動は緩やかに拡大する」と強調。利上げペースも「緩やかに調整する」と従来の表現を維持し、6月の次回会合での利上げに道を開いた。

 短期金利の指標であるフェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標は、投票メンバー9人の全員一致で年0.75〜1.00%で据え置いた。FRBは3月中旬の前回会合で3カ月ぶりに利上げしたばかりだ。金融市場の動向などを見極めるため、今回会合では利上げを見送るとの見方が大勢だった。

 FOMCは前回会合後に、2017年中にさらに2回の追加利上げを想定する政策シナリオを公表している。今回の声明では「金融政策のスタンスは緩やかに調整していく」との表現を踏襲し、従来の利上げシナリオを堅持した。金融市場では6月中旬の次回FOMCで追加利上げに踏み切り、さらに9月にも金融引き締めがあるとの見方が浮かんでいる。

 声明文では米景気について「経済成長が減速したものの、労働市場の拡大は続いた」とし、先行きも緩やかな成長が続くと見込んだ。1〜3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率換算で0.7%増にとどまり、3年ぶりの低い伸び率だった。ただ、FOMCは個人消費の基調は底堅いと指摘し「1〜3月期の景気減速は一時的なものとみている」と強調した。

 FRBはさらに利上げを進め、量的緩和で買い入れた大量の保有資産の圧縮にいずれ踏み切る考えを示唆している。市場は資産圧縮の時期に注視するが、今回の声明文では「保有資産の再投資政策を維持する」などと従来の表現を変えず、具体的な資産縮小策に触れるのを避けた。FRBは議事要旨で年内の資産縮小開始を示唆しており、市場ではその時期を12月と見込む声が浮かんでいる。

2017/5/4 3:03
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN03H30_T00C17A5000000/