借金1300兆円を超えた日本は破綻寸前財務省が喧伝するお馴染みの“財政危機”。だが経済アナリストの森永卓郎氏は、日本は借金を気にする必要がないどころか“超健全財政”だと指摘する。むしろ森永氏は消費税も所得税もない「無税国家」を実現すべきだと主張する。

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 国民の多くは気付いていないが、日本の税・社会保険料の負担は富裕層ほど優遇され、庶民ほど「重税感」に喘いでいる。さらに近い将来、低所得者ほど負担が重い消費税の増税が予定され、庶民の暮らしはさらに厳しくなる一方だ。

 だが実は、日本はアイデアとやり方次第で消費税はおろか、所得税や住民税まで不要の「無税国家」になれる。

 税金を一切払わず豊かに暮らすとは夢のようだが、庶民イジメの税制を続けるくらいなら、いっそ税金ゼロを目指すべきだ。後に述べるように、無税国家に向けた取り組みこそが日本を真に豊かにする。

 財務省の主張とは逆に、日本の財政は今や世界で最も健全なのである。

 国の一般会計と特別会計に加えて、特殊法人や独立行政法人などを含めた、より広い意味における政府の財務を示す「連結財務書類」によると、政府の債務は約1370兆円。だが一方、道路や堤防などの「公共用財産」や年金積立金などを含めた政府資産は約930兆円ある。これはぶっちぎりで世界最大の資産額だ。

 負債から資産を引いた純債務は約440兆円で他の先進国と遜色ない。日本が破綻寸前というのは、消費税率を上げたい財務省のプロパガンダに過ぎない。無税国家のポイントは930兆円の政府資産だ。これを有効に活用すれば、“夢の国”の実現に近づく。

 実際、世界には政府保有資産を統合し、独立した専門家がそのファンドを運用する国や都市がある。中でもシンガポール政府傘下のファンド「テマセク」は1974年の設立以来、平均18%もの利益を生み続けている。

 仮に日本の資産930兆円をシンガポール並みの利回りで運用し、その半分を国民に還元すれば、年間の還元額は現在の税収を上回る84兆円になり、即座に無税国家が実現する。


>>2以降に続きます

2017.04.24 07:00
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