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 日銀の黒田東彦総裁は、8日で任期が残り1年となる。日銀が当初掲げた2年で2%の物価上昇を実現するとした目標は既に「2018年度ごろ」に先送りされており、任期中の実現は極めて難しい。後任総裁は物価目標を達成した上で、異例の金融緩和から抜け出す「出口戦略」への取り組みが求められる。市場では黒田総裁の再任を含め、次期総裁をめぐる人事観測が浮上し始めている。

 「黒田総裁の金融政策に全幅の信頼を置いている。この路線をしっかりと進めてもらいたい」。安倍晋三首相は1月30日の参院予算委員会で、次期総裁の資質を問われ、黒田総裁の政策手腕を手放しで評価。デフレ克服に向け後任総裁にも金融緩和の継続を求めた。

 首相発言を受け、市場では黒田総裁の再任観測が勢いを増している。ただ、戦後に総裁を10年務めた例はなく、現在72歳の黒田総裁が再任されれば任期満了時は78歳となる。日銀総裁は海外出張や国会出席など多忙を極めるため、「黒田氏は体力面で不安がある」(エコノミスト)との指摘がある。

 再任ではなく、日銀内部からの昇格の場合は、海外金融当局と太いパイプを持つ中曽宏副総裁(63)や、金融政策の立案で手腕を発揮してきた雨宮正佳理事(61)が有力だ。大規模緩和の「出口」局面では長期金利急騰の恐れもあり、「金融市場に精通する日銀出身が望ましい」(金融関係者)との見方もある。

 日銀以外で観測が浮上しているのは、安倍首相の経済ブレーンで元内閣官房参与の本田悦朗駐スイス大使(62)。安倍政権下での総裁選びでは、官邸の意向が強く反映される可能性があり、継続的な物価上昇により経済の安定成長を目指すリフレ派の間には本田氏を推す声がある。

2017年04月07日19時36分