最終列車の着いた先は、真夜中の山合いの無人駅。
小さな駅舎を出たら、真っ暗闇につながる山道が一本通るだけ。
乗り越しで精算したので持ち合わせはもうない。
前の駅で降りていれば、前の前の駅で降りていればどうにかなったかもしれないのに。
そんな後悔をしてももはやどうしようもないのだ。今はただ、この暗闇の一本道を歩みだすしかない。
それでも大丈夫だ。臆することはない、今までたったの一度たりとも朝の来ない夜はないのだから。