■移籍組を苦しめるサービスの不評と”ヤメ武田”包囲網

現在の子会社、ベンチャーの状況を上表にまとめたが、滑り出し上々とはいかないようだ。一部のサービスが「高すぎる」と客先から相手にされていないのだ。
サービスの売り込みを受けたあるバイオベンチャー幹部は、「他社と比べて高すぎる」とはねつけた。すると「うちは元武田薬品社員をそろえていて優秀ですから」との答え。
当然売り込みを断ったが、「優秀だったらおまえらこんなことになってないだろ、と言ってやりたかった」と毒づく。

サービスの評判以上に、武田薬品発の子会社、ベンチャーを悩ませるのは、2度にわたるリストラで業界各社に散った”ヤメ武田”研究員の存在である。
ヤメ武田は当然、武田薬品の息のかかった子会社、ベンチャーに良い感情を抱かない。「よほど価格優位性がある提案でない限り、同僚に相談されてリコメンドすることはない」と、あるヤメ武田研究員は冷ややかに語る。
2度の研究員リストラによって「ヤメ武田による包囲網」ができているのだ。

子会社もベンチャーも5年の給与水準保証の後は各社独自の基準になり、製薬業界トップクラスの現状の給与から大きく下がることは必至。そもそもベンチャーが5年続く保証もない。
5年未満で閉鎖された場合は退職加算金を受け取るオプションはあるが、薬価(医療用医薬品の公定価格)引き下げ圧力もあって数年後の転職市場の視界は不良だ。