患 者:男性
主 訴:嘔気、嘔吐、皮膚の黄染
現病歴:検査技師として今年の 4 月に大学病院に入職した。3 ヶ月前に血液を試験管に分注している時に、針を指先に刺してしまった。しかし、その事を黙って隠していた。数日前から疲れと同時 に嘔気と嘔吐をきたし食事がとれなくなった。昨日外来を受診し、黄疸を指摘されそのまま緊急入 院となった。入院後の経過検査の結果、B 型肝炎と診断された。第7病日頃から意識の混濁が見られ、ついには 昏睡状態となった。医師から劇症肝炎の診断にて血液浄化の準備をするように指示された。
医師の指示
1) PE を施行する。装置は旭クラレメディカル社製 KM-8800 とする。
2) 1 次膜にはプラズマキュアーRPE-08 を使用する。
3) PE 一回あたりに使用する血漿量は、血漿量の 1 ~ 1.5 倍とされているが、今回は 1.5 倍の血漿量とす
る。また、補充液用の血漿は日赤 FFP-LR480 で用意し、それらを全て使い切る。
4) 抗凝固薬はヘパリンナトリウム(一般名)を使用する。
5) 治療開始直後に初回投与として 800 IU を急速投与し、その後、600 IU/h で持続投与する。
なお、KM-8800 のシリンジポンプの設定は 0.5mL 刻みでしか設定できない(付録 3,4 を参照)。 また、ヘパリンは「20 mL シリンジ」1 本の中に、初回投与分のヘパリンと持続投与分のヘパリンを 入れて用意すること。
患者のデータ
身長 168 cm , 体重 60 kg , 血液型 O 型 Rh( + ) , WBC 3730 /mm3 , RBC 450×104/mm3 , Hb 15 g/dL , Ht 45% , Plt 10.4 ×104/mm3 , TP 6.5 g/dL ,
Alb 3.5 g/dL ,PT 12.4 sec , APTT 29.8 sec


5. 医師の指示と患者のデータを考慮しながら、次の設問に答えよ。
<<設 問 >>1) 今回の治療で用意しなければならない1FFP-LR480 の個数を計算せよ。
2) PE 装置の血液流量 QB を 100 mL/min とした時の血漿分離速度(ろ液ポンプ流量)(mL/min: 整数)と、補充液流量(mL/min:整数)を計算せよ。ただし、今回は血漿分離後のヘマトクリット値が 60%超えないように注意すること。
3) 血漿分離器直後の血液回路中の血液のヘマトクリット値(%)を計算せよ。
4) PE の施行時間(分)を予測せよ。
5) 自分が使用したいヘパリンナトリウムの商品名と、薬価を調べよ。
ただし、今回は「5,000 IU / 5 mL バイアル」の抗凝固薬を選択し、プレフィルド・シリンジは使用 しないこと。なお、選択した薬品が医師の指示通りであるか十分確認すること。
6) ヘパリンは稀釈してから使用する。したがって、今回の治療でシリンジに詰めるヘパリンの量 (mL)と、ヘパリンを稀釈するために使用する生理食塩液の量(mL)を計算せよ。
なお、今回使用するシリンジは総量が 20 mL(最小目盛 1 mL)である。つまり、このシリンジで は 1 mL 刻みでしか薬剤の調整が出来ない。
さらに、シリンジポンプの設定は 0.5mL 刻みでしか設定できない。
7) PE 装置に設定する抗凝固薬の注入速度(mL//h)を計算せよ。
上記設問の回答方法をお願いいたします‼