“あおり運転”裁判 被告があおり行為を改めて否定
2019年1月16日 19時06分

去年、大阪 堺市で大型バイクに乗った大学生を車で執ようにあおった末に追突して死亡させたとして殺人の罪に問われている男の裁判が開かれ、
被告はあおり運転を改めて否定しました。

大阪・堺市の元警備員、中村精寛被告(40)は、去年7月、堺市の府道で大型バイクに乗っていた大学4年生の高田拓海さん(22)を
後ろから車で執ようにあおったうえ、故意に追突して死亡させたとして殺人の罪に問われています。

2日目の16日は、被告人質問が行われました。
この中で中村被告は、被害者のバイクに向かって激しくクラクションを鳴らすなどした理由について
「バイクが突然前に現れ、危険を感じたため使った。追い抜かれたことに腹を立てていない」と述べました。

そして追突した時の状況については、「腕時計を見たり前をぼーっと見たりしていた。急ブレーキを踏み慣れておらず迷った」と話し、故意にぶつけたわけではないと主張しました。

またドライブレコーダーに、中村被告が追突後に発した「はい、終わりー」ということばが記録されていたことについては、
「今後の自分の生活が終わり」という意味で言ったと説明しました。

被告が「あおり行為」を否定

16日の被告人質問では、ドライブレコーダーに記録された当時の運転の状況について被告が説明し、「あおり行為」を否定しました。

最初に左側から追い抜いてきた被害者の大型バイクが被告の車の前に現れた際、ヘッドライトをハイビームに切り替えて、
後ろから強い光を浴びせた理由について中村被告は、「突然バイクが来たので驚き、自分の存在を知らせるためにハイビームにした」と説明しました。

その後、中村被告は左に車線変更しますが、「家に帰るいつもの手順の癖だった」と述べました。

その直後、前を走っていたバイクも同じ車線に変更したため、被告は再びハイビームを点灯して激しくクラクションを鳴らしました。
これについては、「危険を感じて自分の存在を知らせるためだった」と話しました。

その後、バイクが2つ右の車線に移ると、被告の車も追いかけるように100キロを超えるスピードで同じ車線に移ります。

この理由については、「帰宅するいつもの癖で左を走っていたが、その日は妻を仕事先まで迎えに行く途中だったので、
一気にいちばん右の車線に変更しなければならず、加速が必要だった」と説明し、被害者のバイクを追いかけたわけではないと主張しました。

そして被害者のバイクと同じ車線に入ってから衝突するまでの直前の数秒間については、
「腕時計を1秒見たり、ぼーっと前方を見たりしていた。気付いたときにはバイクの車体は見えず、被害者の大きな背中があった」と述べ、故意に追突させたとする検察の主張を否定しました。

また、バイクをはねたあと車の中で被告が発した、「はい、終わりー」ということばの意味については、
「事故を起こしてしまった。仕事ができなくなり、これから後の自分の生活が終わりという落胆した思いだ」と述べました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190116/k10011780101000.html