日本の電力市場は、形だけのものです。圧倒的な発電所を旧独占が保有し、消費者の大部分もまだ旧独占と契約していますし、送配電網は100%旧独占が握ったままです。
これを電力自由化というのは無理があるというのが、本当のところでしょう。
しかしそんな不完全な自由化でも、旧独占の経営は揺らぎはじめ、このコロナ禍とウクライナ侵攻で、もっと危険領域に入った模様です。
巨大な企業は、大船で安泰というものではなく、大きな図体を維持するのが大変とも言えます。
古くて非効率な仕組みを内部に抱え、世界の変化に機敏に反応することもできません。
この旧独占のあり方をそのままにして、健全な電力市場を作ることは難しいであろうと思います。
発電所を売却する(半分以上は老朽化しているので廃止が適当かもしれません。)、送配電網を完全に独立させる、小売は都道府県ごと程度に分割し分離する・・くらいの荒治療が必要に思います。
そうならなければ、新電力の流れは「脱市場」に向かうでしょう。少なくともJEPXは使わないようになる。あわせてFIT発電所からの買取も避けるようになるでしょう。
すでに、その傾向は始まっています。かなりの会社が倒産、営業停止、吸収合併などを経験するでしょうが、生き残る会社もゼロではありません。
脱市場、脱FITした新電力群は、あっという間に旧独占を飲み込むかもしれません。
そうならないためには、まずJKMを市場価格にするような限界費用の定義見直しを中止し、ブロック入札を制限し、JEPXへの売入札を一定電力量以上に義務化することでしょう。
発電所がどんどん更新されるように、先んじて古い発電設備の廃止を行うこと、新しい再エネ発電所が系統接続しやすい環境を整備していくことであろうと思います。
市場価格問題と発電所問題は別と思われるかもしれませんが、日本に天然ガス発電所しか電力供給がまともにできる発電所がないことが、市場価格高騰の背景にあります。
多様な、風や水や地熱や太陽を活用する発電所がふんだんにできれば、市場価格高騰は起こりません。
解決策は見えているが、やらないという国にならないよう、あとは市民が動くだけかと思います。