東電、「柏崎刈羽」にらみ見解一転 再稼働へ 脱・自己弁護
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121013-00000093-san-bus_all

 東京電力は12日、福島第1原発事故の原因に関するこれまでの見解を一転させた。
今回、不作為を事実上認めることで、訴訟リスクを抱えることになるが、経営再建に不可欠な
柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を進めるには、これ以上自己弁護に終始しては地元自治体の
理解が得られないとの思惑がある。

 東電は実質国有化に合わせて今年5月に「総合特別事業計画」を策定。平成26年3月期の
最終黒字転換を目指している。収支改善のためには来年4月以降に予定している柏崎刈羽原発の
再稼働は絶対条件だ。

 だが、地元・新潟県の泉田裕彦知事は、再稼働は福島第1原発事故の徹底検証が前提だとの
態度を崩していない。今年6月にまとめた社内事故調報告書では事故の主要因は「想定外の津波」と
していた。事故調委員長に当時の副社長を抜擢(ばってき)したこともあり、「自己弁護に終始」との
批判を受けた。

 その後に発表された国会事故調査委員会や政府事故調査・検証委員会でも東電の事故前後の
対応を問題視する指摘が相次いだ。身内への検証の甘さが原発立地自治体への不信感とつながっていた。

 「原子力ムラの体質からの脱却を強力に進める」(下河辺和彦会長)「事故対策をしなければ
(原発の)運転の資格はない」(広瀬直己社長)と東電幹部が強調していたように、地元自治体が
納得するには、説得力のある改革プランを打ち出さなければならない必要性に迫られていた。(原子力取材班)