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 −−16年の参院選は政権批判票を集めた民主党(当時)が自民党の議席を上回って改選第1党になった。選挙結果を受けて
幹事長から幹事長代理に就任した経緯は

 「私はけじめをつけて首相への波及を少なくするために、幹事長を直ちに辞めようと思っていた。ただ、小泉さんはあくまでも
政権交代したわけじゃないから負けたのではないという。選挙の日、小泉さんは『安倍君、これは負けたわけではないからな』。
あと『「笑顔でいろ』と。笑顔でいろと言われても(笑)。厳しい表情をすればその顔をした瞬間だけフラッシュがたかれるけれど、
小泉さんは堂々としているわけです。自民党の議席は民主党より1つ少ないだけだったから、小泉さんは『君は当然続投だ』と言う。
でも私は『そういうわけにはいきません』と」

 「当時の参院幹事長は青木さん(青木幹雄元官房長官)だったから、森さんも『君が辞めたら青木さんにも人事が波及する。辞めるな』と。
そうした状況を十分に考慮して『しばらく時間をおいて辞任します。辞任(の意志)は変わりませんから』と伝えた。
幹事長代理ならば降格だから、責任の取り方としていいだろうとなった」

 −−小泉氏が参院で郵政民営化法案が否決されたのを受けて「郵政解散」に踏み切ったのは驚いた

 「私もびっくりしたが、一方で解散は間違いないと思っていた。(民営化反対派の)亀井(静香)さんとは会って『否決に向けた
動きはやめてもらいたい』と説得した。亀井さんは『参院の否決(が理由)で衆院を解散できるわけない。あり得ない』。
私は『そういう常識的な考え方で予測するのは間違っています。間違いなく(解散)しますよ。小泉さんとの付き合いも長いでしょう』
と説得しましたが、亀井さんは『解散できるわけない』と」

 「あの時、結果はどうだったか。小泉さんが衆院解散した瞬間、みんなびっくりして地元に帰る。永田町からいなくなる。
この経験は私が首相時代、衆院解散した際に生かされました。首相は衆院解散すれば選挙で党総裁として公認を含め大きな権限を持っている。
(解散判断を批判されても)むしろその瞬間に大変な力を発揮できる」

 −−郵政解散で落選した議員の中には安倍氏と近い考えの人もいた

 「平沼赳夫さんや衛藤晟一さん、古屋圭司さんは郵政民営化法案よりも人権擁護法案の審議の進め方に非常に強く反発していた。
私は当時、古屋さんに『政治で大切なのは、政治とはまさに権力に近づいていく行為でもあるわけだから、そこ離れてどうするんですか』
と言った。『やるべき政策、あるいは阻止しなきゃいけない政策があるときに』と話したのを覚えている」