【小泉流が変えた政治〜政権発足20年】(1)安倍晋三前首相「小泉首相は小選挙区制度の申し子」
2021.5.1 10:00
https://www.sankei.com/politics/news/210501/plt2105010001-n1.html
 小泉純一郎政権が発足して4月26日で20年が経過した。異色の政治家にかかわった関係者4人に話を聞いた。
1人目は、自民党の同じ派閥(現細田派、清和政策研究会)出身で、小泉氏の後に首相に就いた安倍晋三前首相。

 −−小泉氏は、その業績は評価が分かれるが、歴代の首相、自民党総裁としては異色だった

 「小泉さんは小選挙区制度が生んだ首相だと言っていい。それまでは基本的には派閥の中で支持を固めて子分を作り、
仲間を増やし、他の派閥との合従連衡のなかで(自民党)総裁の座をつかむというコースだった。小泉さんは合従連衡の中で、
必ずしも多数派を形成できるかどうか非常に難しかった」

 −−平成13年の総裁選は3回目の出馬だったが、下馬評も高くなかった

 「それにもかかわらず、国民的な支持を背景に議員の支持が集まった。派閥が果たす役割が、この時の総裁選では低くなった。
実際は小泉さんは(首相就任前は)派閥(清和会)の会長を務めていたし、相当の『派閥人間』として派の結束を固める
ということには人後に落ちない人だった」

 −−小選挙区制を否定していた小泉氏が一番、小選挙区制を利用したともいえる

 「小泉さんご本人も『自他ともに小選挙区制の誕生によって首相になった』と話していた。そういう意味では、非常に
時代の変化を示す首相だったと思う」

 −−当時を知る複数の人は、小泉氏の強みは人事だったと話している

 「人事においてはそうだけれど、基盤は清和会なのは明確だ。首相官邸は清和会でしっかり固めた。同時に実は、清和会の
人事は(当選回数や実績を考慮して)順当にいくんです。他派閥からも起用するのだけれど順当ではない。おそらく清和会の
人事は森さん(森喜朗元首相)と相談していたと思う。一方で、人事は自分の思い通りやらせてもらうし、国民的な支持を
得て改造をするからと言って、女性と民間人を大胆に起用した」