83のつづき

【藤井】竹中さんの時代、たしかにプライマリーバランスの赤字はどんどん減っていましたが、それができたのは当時アメリカの景気が良く輸出が伸びたから。あのとき、プライマリーバラン
スの黒字化なんていわずに徹底的に財政政策をやっていたら、デフレ脱却ができたはず。竹中さんは誇りに思っているとしたら完全に状況認識を誤ってますね。プライマリーバランス赤字
を減らすなんて最悪の手を打ったがゆえに、せっかくの輸出増という僥倖をみすみす見過ごし、デフレが続く最悪の帰結をもたらしたのです。彼は誇りに思うのではなく、痛恨の思いを持つ
べきなんです。ただ、そんなプライマリーバランス規律ですが、それを少なくともいったん解除することに成功したのが麻生政権。彼はリーマンショック対策で、積極財政を展開するために、
プライマリーバランス規律を解除したのです。ここから積極的な財政出動が始まり、続く民主党政権もプライマリーバランスの縛りがなかった。民主党政権は、マニフェストを全部やるといっ
て、すごくカネを使ったんです。結果的には、これが日本経済にとってよかった。

プライマリーバランス復活…財務省の巻き返し
【田原】その経済によかったことを、やめちゃった?
【藤井】財務省は、プライマリーバランス規律がなくなって3年間、悔しくて悔しくてしょうがなかったんです。
そこで、第二次安倍内閣で麻生さんが財務大臣になったとき、徹底的にレクして、プライマリーバランス規律を復活させてください、と頼んだ。これが2013年1月で、6月の骨太の方針でプライ
マリーバランス規律が復活しました。消費税の10%への増税も、同時に決めたんです。
【田原】いま、プライマリーバランスはどうなっていますか?
【藤井】コロナ状況下ですから、赤字が非常に拡大しています。内閣府が2021年1月21日に経済財政諮問会議に提出した「中長期の経済財政に関する試算」の見込みによると、2020年度
(2021年3月まで)のGDP成長率は実質マイナス5.2%で名目マイナス4.2%。2021年度(22年3月まで)は成長率実質4.0%で名目4.4%。2021年度中には、日本経済はコロナ前の水準に戻る
と見ています。プライマリーバランス赤字の対GDP比の見込みは、2020年度12.9%、21年7.2%です(以上、いずれも%に「程度」がつくがここでは略)。GDPの13%近いということは、額にし
て70兆円くらいですね。内閣府の試算にはグラフがついていて、うまく成長するシナリオ(実質成長率が2025年以降2%近い)が実現したとして、プライマリーバランス黒字化は2029年度。早
くて10年くらい先ということです。

PBにとらわれ、コロナ対策もデフレ脱却も失敗した
【田原】内閣府の試算が出る直前の2021年1月18日、麻生財務相は財政演説で、2025年度のプライマリーバランス黒字化を目指すといった。コロナ禍がそろそろ1年なのに、前と同じことを
いっている。なんで?
【藤井】まったくなにも考えず、ただ財務官僚の作文を読んだだけでしょう。
【田原】いずれにせよ、いつごろプライマリーバランス黒字化なんてことにこだわっていては話にならない、ということね?
【藤井】そうです。全然ダメです。それをやっている限り、日本はまともなコロナ対策も、防災対策も、防衛対策も、そしてデブレ脱却もみな、まったくできません。
【田原】これを続けている日本政府の責任者は誰?
【藤井】もちろん、菅義偉内閣総理大臣であり、麻生太郎財務大臣です。


糞スレ終了