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 大坂選手はテニスを始めて以来、ウィリアムズ選手をずっと崇拝してきた。
ウィリアムズ選手が父親のリチャード・ウィリアムズさんからテニスの指導を受けた
ように、大坂選手も父親からテニスを教わった。姉のまりさんと一緒にニューヨーク州
ロングアイランドのエルモントにある自宅近くの公営コートで父から手ほどきを受けた。
9歳のとき、一家でフロリダ州南部に移住。2人はホームスクールで学び、本格的に
テニスに打ち込み始めた。最初の数年は、まりさんの方が圧倒的に強く、大坂選手は
姉を倒そうと必死だった。2人は主要なジュニアの大会には参加していなかったため、
大坂選手にとって姉が主なライバルだった(最終的には姉を倒したが、
テニスをしたいと思わせてくれたのも、負け方を教えてくれたのも姉だという)。

 女子テニス協会(WTA)主催の大会本戦に初めて出場したのは14歳で、
当時のランキングは406位。この2014年のカリフォルニアのトーナメントで、
そのパワフルなサーブとフォアハンドによって、すぐにテニス関係者の注目を集めた。
しばらく順調に世界ランキングを伸ばしたものの、やがて行き詰まり、
たまに50位を上回るレベルで伸び悩んでいた。転機が訪れたのは2018年。
快進撃が始まり、四大大会で初優勝を収めた。翌年の全豪オープンでは、
全米オープン優勝がまぐれでないことをやすやすと証明。史上最年少に近い年齢で
ランキング1位に上り詰め、新たなスポンサーやマーケティング契約を獲得した。

 「彼女は公の目にさらされる中で自分にとって何が大切かを理解し始めている。
われわれが彼女について学ぶ一方で、彼女も自分自身について学んでいる」とカーター氏は話す。
同氏はジェームズ選手と共に現在、東京五輪にちなんだ大坂選手に関する
ネットフリックスのドキュメンタリー番組のエグゼクティブプロデューサーを務めている。
「彼女は自分が選んだ人生について、対処が難しいものであることを理解している」