WHO脱退、大統領選の結果次第 バイデン氏「復帰」約束―米 2020年07月08日20時37分

 【ワシントン時事】米政府は7日、世界保健機関(WHO)脱退を国連事務総長に
正式に通知したことを明らかにした。これに対し、11月の米大統領選を
トランプ大統領と争う民主党のバイデン前副大統領は、「WHOへの復帰」を明言。
米国が実際にWHOを脱退するかどうかは、大統領選の結果次第ということになりそうだ。

 トランプ氏は、WHOの新型コロナウイルス対応について、
中国に配慮して緊急事態宣言が遅れたなどと批判。WHOを「中国の操り人形」と指弾してきた。
4月に資金拠出の停止を表明して以降も、WHOは米国より拠出金が
はるかに少ない中国に支配されているなどと主張し、5月29日に脱退の意向を表明していた。

 新型コロナ感染者数が世界最多となった米国で、トランプ氏は被害の深刻さを軽視し
対応が遅れたと非難されている。大統領選に向けて支持率が伸び悩む中、
トランプ氏は中国の初動対応のまずさが世界的な感染拡大を招いたと
責任転嫁を図っており、WHOも「中国たたき」の余波を浴びた形だ。

 ただ、国連によると、正式な脱退は通知から1年後になる。バイデン氏は7日、ツイッターで
「米国が国際公衆衛生の強化に関与することで、米国民はより安全になる」と強調。
大統領選で勝利すれば、来年1月の就任1日目にWHO復帰を表明すると述べ、
「私は国際舞台でのリーダーシップを回復する」と訴えた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は「公衆衛生の専門家や法学者、米議会から、
(米国のWHO脱退が)国連に対する中国の影響力を増大させると非難する声が上がっている」と
指摘した。トランプ政権の中国たたきは、中国台頭の促進という皮肉な結果を招きかねない。

 バイデン氏は既に、トランプ氏が離脱を表明した地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への
復帰を公約に掲げている。WHO脱退問題では、国際機関や同盟関係を軽視する「米国第一」の
トランプ氏と、「国際協調への回帰」を唱えるバイデン氏という対立軸が改めて鮮明になった。

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