なぜ子どもに「水害後の清掃をさせるべきでない」のか。医師に意見を聞いた
7/7(火) 17:28配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/e11396556af9cf310362a5acbdc0f92288d7a19b

子どもが片付け作業を手伝うことについて、医師らから「感染症の危険性などもある」との指摘がなされています。
佐久総合病院佐久医療センターの小児科医長、坂本昌彦さんに話を聞きました

「子どもに関しては、大人とは別の特徴があり、まず体が成長過程にあるため、有害物質にさらされると大人より大きな影響を受けます。
免疫システムがまだ不十分で、様々な病気に対する感染リスクも高いです」

「また背が低いため、地表の汚泥から舞い上がる有害物質を大人より吸い込みやすく、呼吸回数も大人よりも多いため、
災害時には成人より多くの有害な化学物質を吸い込みやすいです」

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、洪水などが発生した後の水について「人や家畜の排泄物(下水が溢れた場合)、
家庭や医療機関、工場から出た有害廃棄物(農薬や工業廃棄物)など病気に繋がる可能性のある汚染物質のほか、
木材やがれきなどケガの原因となるもの、ネズミなどの動物が含まれている可能性がある」としています。
これらの汚水にさらされると、「ケガによる感染症(破傷風含む)、皮膚の湿疹、大腸菌やサルモネラ感染症などの感染性胃腸炎にかかる可能性」があります。

坂本さんは他にも、子どもは「好奇心から様々なモノを触りたがるため、大人なら近づかないような危ないものにも直接触れようとする」
「体重あたりの体表面積が大きいため、外気温の影響を受けやすく低体温にもなりやすい」などの理由で、水害後の片付けをするのはリスクが高いと指摘しました。
アメリカ小児科学会も、「子ども、そしてできる限り10代も水害後の清掃には関わるべきでない」とし、「清掃されていない場所には、子どもは近づけないようにすべき」と呼びかけています。

高校生以上の片付け手伝いや、大人が水害後の清掃にあたる際にも、感染症やケガを避けるために服装に注意が必要です。
長袖、長ズボンを着用し、丈夫な手袋、底の厚い靴を着用することで、ケガや感染症などを防ぎます。
また、マスクやゴーグルを着用して、首にはタオルを巻きます。

現在、新型コロナウイルスが流行していますが、災害時に流行する病気や感染症について、坂本さんは時期別にこのようなものがあると指摘します。
<発災直後> ケガなどから起こる感染症
<発生1週間前後> 汚染された水や食べ物を介しての感染症(細菌性胃腸炎など)
<数週間後> 避難所など密集した場所での呼吸器感染症、上気道炎、気管支炎など。麻疹が流行することも。
坂本さんは、避難生活などで気をつけるべき病気について「災害時に珍しい病気が流行するのではなく、日頃からよくある感染症が流行します」と説明。予防については、こう指摘しました。
「これらの感染症の流行を防ぐには新型コロナウイルス感染症対策の手洗い、消毒は有効です。ただし、胃腸炎のウイルス(ノロウイルスなど)にはアルコール消毒は無効である点に注意が必要です」