(多事奏論)「私たちの」憲法です 「うちの」国じゃないのでね 高橋純子
2020年6月24日 5時00分

 《「お宅とうちの国とは

 国民の民度のレベルが違うんだ」

 と言って、

 みんな絶句して黙る》

 これは、終生偏屈を通した男が残した、人間の愚かさをうつした詩の一節である。
冒頭の夜郎自大すぎるカギカッコから「黙る」に至る、騒から静への見事な展開とそのスピード。
「咳(せき)をしても一人」(尾崎放哉)に通じる、肌に痛いほどの静寂と孤立が浮かび上がる。
しかも「黙る」は複層的で、皆はあきれて言葉を継げずに黙っている、
他方、当人は「黙らせてやった」ぐらいに思っている。滑稽である。みじめである。
それでも、このどうしようもない「ズレ」こそが、生きるということの本質なのだ
――なんて、適当なことを並べて戯れている外は雨。マスクしても一人。

 もちろん詩であるはずがない。現役の副総理、7年半も副総理、
失政失言暴言を重ねようとも副総理な御仁の、したり顔を伴った国会答弁である。