米就労ビザ停止、IT大手反発 日本企業は「人事異動に狂い」
2020年06月23日16時03分

 【ワシントン時事】トランプ米大統領が外国人労働者に対する一部の就労ビザ(査証)
発給を今年末まで停止すると発表し、産業界からは「移住者は米経済に多大な貢献を
してきた」(米グーグル親会社アルファベット)などと反発の声が上がった。
インドや中国籍のIT技術者の雇用機会が奪われるほか、
日本企業の米国駐在や現地採用への影響も懸念される。

 24日から発給を停止するビザは、主にハイテク業界の高技能労働者が取得する
「H―1B」、企業駐在員らの「L」など。新型コロナウイルスの影響で米国大使館は
緊急の場合を除きビザの発給業務を事実上停止している。今回の措置は秋の大統領選も
にらんだ米国人の雇用確保が狙いだが、ビザの取得が困難な状況は当分続きそうだ。

 米国務省によると、2019会計年度に発給したH―1Bビザは新規・更新合わせて
18万8000件超。このうちインド人が7割と最も多く、次いで中国人が2割弱を占めた。
また、今回規制対象となったビザを受け取った日本人は計2万人規模に上るといい、
「今後は企業の人事異動計画に狂いが生じる」(日系商社幹部)可能性もある。

 米アルファベットの最高経営責任者(CEO)でインド出身のピチャイ氏はツイッターで
「きょうの決定には失望した。われわれは移住者とともに雇用機会の拡大に努める」と強調。
米アマゾン・ドット・コムの広報担当者は「米国のグローバルな企業競争力を危険にさらす」
と不満を示した。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020062300859&;g=int&