全米をデモ覆うも「物言わぬ多数派」はトランプ支持
白人を「トランプ再選」に走らせる恐怖と不安
2020.6.15(月)
青沼 陽一郎
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60908

治安悪化に不安抱く物言わぬ国民にアピールするトランプ

 いまのデモに対して、国民の多くは声にしないだけで、むしろ治安の悪化に
不安を抱いているはずだ。そう呼びかけて、黒人の台頭に恐怖する白人の支持を集める。
そうでなくても、テレビに映し出される全米各地での大規模抗議デモの模様は、
トランプ支持をより強固なものとさせる。

 トランプの支持率が50%を割ったとしても、40%を割ることはない。
40%台半ばで推移している。それだけ強固な支持層がある証でもある。
トランプの再選には50%の支持は必要ない。
大統領選挙人の割り振りが共和党に有利にできていて、46%の得票率で当選できるとされる。
前回の選挙でも、ヒラリー・クリントンが得票数でも得票率でも上回っていた。

 トランプ大統領の出現は分断を深めたと批判されることが多い。
今回のデモへの対応でも、そう書くメディアも少なくない。
だが、もともと米国にはずっと分断が蔓延っていて、それをうまく利用したのが
トランプと言ったほうが正確のはずだ。

 11月の大統領選挙までデモが続くとも思えない。
新型コロナウイルス感染拡大の初動で批判を浴びるも、
秋までに優先する経済の立て直しに成功すれば支持率も持ち直すかも知れない。
黒人の投票行動も当選を左右させる。その他の不確定要素もあるが
ミネソタからはじまった全米デモはトランプを不利にはしていない。
きっとトランプもそう思っているはずだ。

 それともうひとつ。米国の人種差別問題はいずれ終息する。
だって、放っておいても黒人の人口が白人を上回るのだから。