「緊急事態宣言」延長は国民のせいか 経済的補償なく進んだ政権の責任は
2020/5/2 06:00 (JST) ©株式会社全国新聞ネット 尾中 香尚里 ジャーナリスト

 新型コロナウイルスへの対応をめぐり安倍政権が発令した緊急事態宣言は、
当初の目標だった「5月6日解除」を断念せざるを得なくなった。1日の政府専門家会議では
「全国で1カ月の延長が必要」との方針で意見が一致したと報じられている。最初に東京など7都府県に
宣言を発令した際に安倍晋三首相が自ら掲げた「2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、
減少に転じさせる」という目標を十分に達成できず、結果として宣言延長に追い込まれたのだ。

 結果を出せなかった政権自身の責任を、彼らはどう考えているのだろうか。(ジャーナリスト=尾中香尚里)

 安倍政権は、国民に対して一方的に義務を課し、痛みを与え、責任を果たすよう求めておきながら、
自らが果たすべき責任を果たしたかについての評価が極めて甘い。
自らの施策が効果を上げられなかったために、国民はさらに私権を制限され、
大きな痛みを背負うことになるのに、そのことへの痛切な感情が全く感じられないのだ。(中略)

 国民の側が感染の恐怖や将来の生活への不安におびえているのに、その国民の生命に
責任を持つべき政権の側が、自ら掲げた目標を守れなくてもその総括すらせず、自分たちは無傷のまま、
国民には引き続き痛みを強いる。それが「緊急事態宣言延長」にみる政権の本質だ。

 この政権が今後も、「緊急事態」の名のもとに国民の生殺与奪を握り続けるのかと思うと、
ただ暗澹(あんたん)たる思いしかない。

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