http://blog.tatsuru.com/2020/04/22_1114.html
コロナ後の世界

―― 今回、中国の成功と米国の失敗が明らかになった。それが「コロナ以後」の政治体制にもつながってくるわけですね。

内田 少なくとも現時点では、アメリカン・デモクラシーよりも、中国的独裁制の方が成功しているように見える。
欧州や日本でも、コロナに懲りて、「民主制を制限すべきだ」と言い出す人が必ず出てきます。
 中国はすでに顔認証システムなど網羅的な国民監視システムを開発して、これをアフリカやシンガポールや中南米の
独裁国家に輸出しています。国民を監視・管理するシステムにおいて、中国はすでに世界一です。
そういう抑圧的な統治機構に親近感を感じる人は自民党にもいますから、彼らは遠からず「中国に学べ」と言い始めるでしょう。

―― なぜ日本は失敗したのですか。

内田 為政者が無能だったということに尽きます。それは総理会見を見れば一目瞭然です。
これだけ危機的状況にあるなかで、安倍首相は官僚の書いた作文を読み上げることしかできない。
自分の言葉で、現状を説明し、方針を語り、国民に協力を求めるということができない。

 コロナ後には「すべて憲法のせい」「民主制は非効率だ」という言説が必ず湧き出てきます。これとどう立ち向かうか、
それがコロナ後の最優先課題だと思います。心あるメディアは今こそ民主主義を守り、
言論の自由を守るための論陣を張るべきだと思います。そうしないと、『月刊日本』なんかすぐに発禁ですよ。