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錯乱と迷走 むかし陸軍いま安倍晋三という悪夢と悲劇 <上>
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/269808
 文科省の反対を押し切り、「強いメッセージ」にこだわって独断で強行した全国一斉休校については、
「断腸の思い」「責任ある立場として判断しなければならなかった」などと情緒的な説明に終始。感染者が
確認されていない地域も含め、なぜ一律の対応が必要なのか。感染防止にどれだけの効果があるのか。
出口戦略をどう描いているのか。後手後手対応の揚げ句に社会を大混乱に陥れながら、科学的知見に基づく
説明は一切なし。根拠が全く不明な上、こんな精神論を振りかざし始めたのにはゾッとさせられる。

 安倍が「戦い」に言及すること5回。“サメの脳みそ”と揶揄される東京五輪組織委員会トップの森喜朗会長が
「私はマスクをしないで最後まで頑張ろうと思っている」と根性論を言い出したのはまだ笑えるが、発言の主は
7年超もこの国をかじ取りし、新型コロナの脅威に2カ月近くも直面している現役首相だ。先の大戦中、
東条英機首相が対空射撃を訓練する少年たちに「気合で撃つんだ」と指導したというエピソードがあるが、
データも戦略もなく、負け戦に突っ込んでいった陸軍を彷彿とさせる。

 安倍は事あるごとに「悪夢のような民主党政権」と揶揄するが、コロナ禍は既視感がある。3・11が招いた
原発被害に酷似しているのだ。
 当時の菅直人首相は福島第1原発の視察強行で現場を混乱させ、枝野幸男官房長官は「直ちに影響はない」
と繰り返し、周辺住民の避難が遅れた。
 その裏では、原発事故を小さく見せようとする経産省の意図も働いていた。そして今、クルーズ船内で作業した
職員の感染も次々に判明。にもかかわらず、東京五輪開催が危ぶまれ、感染者激増を避けたい安倍政権は
PCR検査能力の拡充に後ろ向き。水際対策にしくじりながら取り立てた対策もなく、イベント中止、外出自粛、
一斉休校といった弥縫策でごまかそうとしている。
 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は言う。
「希望者全員がPCR検査を受けられる態勢をつくるのが大前提。その上で、現状で最も求められるのは死者を
出さない対策です。つまり、致死率の高さが指摘されている基礎疾患を持つ高齢者のケア。国内初の死者が出た
直後に設置された専門家会議は、高齢者が保健所などの相談窓口に連絡する目安を37・5度以上の発熱2日
程度としていますが、80代が肺炎を起こしたら死に直結する。臨床医の常識です。こんなメチャクチャがまかり
通っているのは、専門家会議が研究者や元厚労技官で占められているからです。メンバーを入れ替え、高齢者
医療の現場に通じている医師を増員しなければ事態はどんどん悪化する。感染症研究者は1人いれば十分です」
 日本人の4人に1人が高齢者だという現実を直視しているとは思えない。