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『アベノミクスによろしく』の明石順平が斬る「老後2000万円不足」問題
ttps://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2019/07/15/109296/
――ここまでお話を聞いて、アベノミクスの実情がよくわかりました。しかし、安倍首相は成果を誇らしげに語っています。
例えば「民主党政権時代と比べると、失業率も有効求人倍率も改善された」とか。

明石 失業率の低下も有効求人倍率の上昇も、アベノミクス前からずっと改善されています。民主党政権時代からの傾向が
ずっと続いているだけで、別にアベノミクスのおかげで良くなったわけではありません。理由としては第二次安倍政権誕生以降、
単に世界的な経済危機が起こっていないからです。

――安倍首相は「悪夢のような民主党政権」というフレーズをよく使いますが。

明石 今のほうがまったくの「悪夢」ですよ。こんなに円安インフレになるような政策を行なって、国民の生活を苦しくし、
消費を冷え込ませてしまったわけですから。経済が停滞しているのに、物価だけは上がっています。食料価格指数だけ見ても
10%以上の伸び率です。必然的にエンゲル係数も爆上げしています。

国内実質消費から見れば、これはスタフグレーションと呼んでいい状態でしょう。スタグフレーションとは、「stagnation【停滞】」
と「inflation【インフレーション】」の合成語で、経済活動は停滞しているのに物価が上昇するという意味です。
アベノミクスの正体は、実は「貧乏ノミクス」だったということを数字が証明しています。

結局、アベノミクスの失敗は「賃金がほとんど上がらないのに、物価だけ上がってしまって消費が落ちた」ということです。
まずは賃金を上げるべきなのに、完全に順番を間違えています。

――明石さんは新刊『国家の統計破壊』(インターナショナル新書)で、安倍政権の偽装体質を、詳細な数字によって暴いて
いますね。

明石 2018年8月に「賃金21年ぶりの伸び率」というニュースが出ました。これは景気がよくなったからではなく、
賃金の算出方法を政府が変更したことによって起こった現象です。

ここには重大なカラクリがありました。端的に言うと、賃金の算出方法を変え、従前よりも高く出るようにしていたのです。