大阪ダブル選挙前に改めて知っておきたい「二重行政の実害」 2019.03.11 高橋洋一・嘉悦大学教授
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東京なら、高校は「都立」、病院も「都立」だ。「区立病院」、「区立高校」なんてまずない。
別々に存在していたら、コストが高くなる一方だ。

万博誘致など、府市が対立していた橋下徹府知事と平松邦夫市長時代には、誘致はおろか立候補すらできなかっただろう。
この大阪府と市の両者の協力関係を、現在のような「属人的なもの」から、制度化し、大阪がさらなる飛躍を遂げるための土壌を整える。
今度の2025年万博では、「大阪市の負の遺産」である夢洲を活用する案が進んでいる。かつて大阪市は、夢洲の開発で失敗した。
広域的な発想がなく、市運営では最適な活用のしようがなかっために、夢洲開発は頓挫し、実質「ゴーストタウン」と化した。

「大阪都構想」の理論的な基盤は、「都市の最適規模論」がある。
その前提として、行政には「補完性の原則」というものがある。ごく簡潔に言うと、「現場に近い自治体ほど、その業務を担当するのがいい」というものだ。
基礎的な自治体の最適規模は、人口で30〜50万人程度というのが、行政の定説である。
この観点からみれば、人口260万の大阪市は、行政の規模としては大きすぎる。

以下は、筆者の所属する大学の研究者が行った経済試算であるが、筆者は関わっていない。
基礎的自治体の最適規模論からすれば大阪市の規模は過大であり、民意への即応性がある特別区のほうが、最大で1兆円程度も経済効果で優れていることが、定量的・客観的に示されている。
その含意は、大阪の二重行政がなくなれば、かなりの程度効率的な行政となり、その結果、いまより行政施設が拡充され、住民福祉が高まることが期待される、ということだ。
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たとえば、政令都市は最適規模から過大になっているため、結果、人口に比べ児童相談所の数が少なくなっている。
大阪市もその例にもれず、児童相談所は2箇所。人口から考えれば過小である。
「大阪都構想」が唱えるように、大阪を4つの特別区にして児童相談所を4箇所にすれば、一般の都府県並の水準になるだろう。
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