>>971

 そうした姿勢は、共和党の方針も1990年代半ば以降に変わってきたことを反映している。
民主党が移民強硬策を綱領に盛り込む2年前の1994年には、ウィリアム・ベネット
元教育長官と、後に副大統領候補になるジャック・ケンプ氏の2人の有力共和党員が、
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のオピニオン欄に寄稿。反移民を唱えるのは
「共和党にとって敗因」になるとし、不法移民とその子供向け公教育を含め、
一切の援助を打ち切ることを提案したカリフォルニア州の法案に警鐘をならしていた。

 つまり両党はここ最近、互いの方針がいくぶん入れ替わったことになる。
そうして移民問題は現在、米国を深く分断する政策問題となっているようだ。

 壁建設費用を含めた国境警備問題と、幼少時に親に連れられて不法入国した若者の
法的扱いとを組み合わせて対処する良識的な妥協案も使えるにもかかわらず、
移民問題が解決不能な政策課題のように思われる理由は多くある。

 理由の一つは、トランプ氏が設定目標を変え続けていることだ。
1年前には、上記のような妥協策を受け入れたかに見えたが、
その後に大きな譲歩をはねつけた。
トランプ氏は目下、数カ月前には手を打つ用意があると示唆した国境警備問題について、
現行の予算を受け入れるつもりはないと言明している。

 もう一つの理由は、民主党内の風潮にある。
バージニア州のラルフ・ノーサム知事が直面しているように、
民主党は一切の妥協を締め出そうとしている。
ノーサム氏の医学校時代のアルバムで、顔を黒塗りにした若者が白人至上主義団体の
クー・クラックス・クラン(KKK)の服装をした人物と並んでいる写真が見つかり、
同州でも全国レベルでも、党の指導部はほぼ一貫してノーサム氏の辞任を要求している。

 ノーサム氏は写真が浮上した当初、2人のうち1人が自分だと述べていたが、
ここへ来てどちらも自分ではないと主張している。
だが民主党は、人種差別的行動や性的不品行を一切許さない構えだ。
民主党は過去3年にわたり、トランプ氏の女性問題や、バージニア州シャーロッツビルの
衝突事件で白人至上主義者を容認する姿勢をにじませた問題を突き上げてきた。
このため党内で不品行があったとみられることについて、言い訳はできない。