トランプ氏演説控え、民主党も強硬姿勢崩さず
By Gerald F. Seib
2019 年 2 月 5 日 07:50 JST 更新

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJのチーフコメンテーター

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 党の綱領は不法移民と国境警備について、ひときわ厳しいメッセージを打ち出している。

 綱領はまず、「不法移民は容認できない、制止しなければならない」と宣言。
続いて、メキシコとの国境は「警備が不十分」となってきた結果、過去数年で
「不法移民が急増した。犯罪者の移民は、米国で罪を犯した後に強制送還されても、
その翌日には舞い戻って再び罪を犯していた」と非難している。

 いったいどちらの党の綱領だろうか。民主党だ。
この極めてトランプ的な言い回しが書かれたのは1996年、
当時のビル・クリントン大統領が圧倒的支持を得て再選を果たそうとしていた頃だ。
クリントン氏の属する民主党は、米政府が不法移民に対し
「強硬な発言をしながら行動が伴わなかった」時代に終止符を打ったと豪語していた。

 この綱領を見れば、民主党がその後の年月を経て、移民問題で左寄りになったことが
分かる。昨年の中間選挙で下院の過半数を奪還してからのここ数カ月、その傾向は
一段と顕著になっている。ドナルド・トランプ大統領の一般教書演説を5日夜に控え、
民主党は今や断固として妥協しない構えだ。メキシコ国境沿いの壁建設費用として
トランプ氏が要求している数十億ドルの予算を巡り、長引く攻防に注目を奪われ、
5日の演説は影が薄くなりそうだ。

 言うまでもなく、トランプ氏も一歩も引かない構えだ。議会が法的に資金拠出を
認めない場合でも、国家非常事態を宣言して建設に持ち込む可能性をちらつかせている。