https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38060240S8A121C1000000/
米最高裁長官、トランプ氏に異例の反論
「オバマ系判事はいない」
2018/11/22 5:59

【ワシントン=中村亮】米連邦最高裁判所のロバーツ長官は21日、「オバマ系やトランプ
系、ブッシュ系、クリントン系といった(各大統領の考えに偏向した)判事はいない」と
の声明を発表した。
不法移民対策を認めない判決を下す判事を「オバマ系判事」と非難するトランプ大統領に
反論した格好だ。トランプ氏はすぐさま「オバマ系判事は間違えなくいる」と重ねて主張。
司法と行政の長が舌戦を繰り広げる異例の事態となった。

ロバーツ長官は声明で「米国には、出廷した人々を公平に扱うよう最善をつくす献身的な
判事の集団がいる」と説明。「独立した裁判官に誰もがありがたみを感じる」と指摘した。
公平性や独立性を強調したのは、思い通りにならない判事を公然と批判するトランプ氏の
言動は受け入れられないとの意思表示だ。最高裁長官が現職大統領に反論するのは異例だ。

トランプ氏も同日、ロバーツ氏の声明を受けて「ジョン・ロバーツ長官よ、申し訳ないが
オバマ系判事は間違えなくいる」とツイッターに投稿した。リベラル色が強いカリフォル
ニア州などを管轄する9区の裁判所を名指しし「独立した判事がいるとすればすばらしい
ことだ」と皮肉った。

トランプ氏は重要政策に位置づける不法移民対策に反対する9区の裁判所に不満を募らせ
てきた。今月には幼少期に親と不法入国した若者の強制送還を猶予する制度の撤廃が認
められず、メキシコ国境からの移民を難民申請の対象から事実上外す措置も適用を差し
止められた。20日にはホワイトハウスで記者団に「9区での裁判はいつも負ける」と指摘
し、一部の判事はリベラル色が強いとして「オバマ系判事」と非難した。