「文科相に書き換えさせられた」 教育勅語めぐり前川さん明かす
2018/10/5 16:45 10/5 18:53updated ©株式会社全国新聞ネット

 教育勅語を教材として使うつもりなのか。新任の文部科学相の発言が波紋を広げている。
 この問いかけに対する文部科学省の答えは、実は2014年に大きく変わっている。
問題を所管する初等中等教育局の局長は、このとき前川喜平さん。
前川さんは「当時の下村博文文科相に答弁を書き換えさせられた」と明かす。(中略)

 それにしても前川さんはなぜ最後まで抵抗したのか。
 「僕の心の中で憲法尊重擁護義務、憲法尊重擁護義務という声が聞こえてね。だから…」
 憲法尊重擁護義務は憲法99条に規定されている。「天皇または摂政および国務大臣、国会議員、
裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」。前川さんにとって、教育勅語を尊重したり、
擁護したりすることは、この義務に反するということになる。即ち、教育勅語自体が反憲法的なのだ。

 教育勅語の国家観は、確かに現憲法に完全に違背する。
 冒頭は「朕(ちん)惟(おも)フニ、我ガ皇祖皇宗、国ヲ肇(はじ)ムルコト宏遠ニ、徳ヲ樹(た)ツルコト深厚ナリ」。
国を始めたのは天皇家の祖先、徳を積んできたのも代々の天皇家。そのすぐ後には「我が臣民」という言葉も
出てくる。国民は天皇の家来。「主権在民」「民主主義」とは真逆の天皇中心思想が語られている。

 その誤りが戦前の日本の蹉跌に大いに影響したことは全く顧慮せず、言及もせず、
柴山氏や下村氏は「普遍的なもの」と称揚する。
 では彼らの言う「普遍的なもの」とはなにか。それは本当に普遍的な価値・徳目で
道徳教育に適したものなのだろうか。=この項続く(47NEWS編集部、共同通信編集委員佐々木央)

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