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池田弁護士が請求者に宛てた手紙(抜粋)

 私たちの社会は、私たち一人ひとりが、その本質において平等であるという
価値観に基づいて成立しています。
出自がなんであろうと、障害を負っていようと、職業がなんであろうと、
男であろうと女であろうと、その本質において平等でなければなりません。

 私が本当に憤っているのは、貴殿のした懲戒請求が、
在日朝鮮人あるいはその子どもたちの権利の平等性を認めていないという点にあります。
個人はその本質において平等だというこの社会の前提を壊していることに対する
無自覚さです。

 私は、貴殿が今回の懲戒請求をなさった根底には、
差別に対する無自覚性があると思わざるを得ないのです。

 そうであれば、貴殿がなすべきことは、私や弁護士会に対する謝罪ではなく、
貴殿の心の中にある明確に存在する差別をする心と向き合うことであり、
差別を楽しむこととの訣別(けつべつ)です。
謝罪すべきは、貴殿の懲戒請求によって在日朝鮮人の子として生まれたがために
学ぶ権利を否定された子どもたちにであり、
それを自らの責任と追い詰めている彼らの親たちにです。

 私は、貴殿がどのような思想を持とうと、表現活動をされようと自由だと思います。
しかし、その自由には責任が伴うことを忘れてはなりません。
その自由を行使した結果、他人の権利を害することは許されるべきことではありません。
そして、私の経済的損害や精神的苦痛よりも、この社会の分断を生じさせたことは、
極めて重大で、それに対する大きな責任は負うべきだと考えます。
その責任の重大性をしっかりと認識していただきたく存じます。