ロシア駐日大使「世論尊重を」 北方領土巡り譲歩要求 石橋亮介 2018年6月22日09時32分

 ロシアのガルージン駐日大使は21日、東京都内で講演し、ロシアが実効支配する北方領土について、
「多大な犠牲を払い、ナチスドイツとその同盟国に勝利した(結果、ソ連に引き渡された)というのが
(ロシア国民の)揺るぎない認識」
「そのことを日本の皆さんにも認識、尊重していただきたい」と述べた。
北方領土問題の解決に日本側の譲歩を求める考えを示したものだ。

 ガルージン氏は、現在の日ロ関係を「順調で安定している」と評価。
北方領土問題について、「両国民が受け入れ可能で、長期的な利益にかなう解決に
達せられると信じている」と強調。そのための基礎となる良好な日ロ関係づくりに取り組む意欲を示した。

 ただ、「ロシアによる不法占拠が続いている」とする日本政府の主張に対しては、
「第2次世界大戦の一つの結果だ」と反論。
ロシアの世論は「合法的に引き渡された領土を、他国に引き渡してはならないという機運が圧倒的だ」と述べ、
領土の返還を伴う問題解決の難しさを強調した。

 そのうえで、元島民のビザ無し訪問の受け入れなどを例に、
「ロシア側は日本国民の感情を最大限に尊重するよう努めている」と指摘。
「日本にもロシア国民の感情、世論を尊重していただけることを期待したい」
「歴史認識の尊重が相互理解につながる」と述べ、問題の解決に向けて日本側の歩み寄りを求めた。

 また、日本が進める米国のミサイル防衛システムの導入などを念頭に、
「日ロ間の好ましい環境づくりに決して寄与していない」とし、
「日本の国益に基づき、どの場合に米国と一緒に行動し、
どの場合に独自の立場を取るか自ら判断していただきたい」と求めた。(石橋亮介)

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