ドイツ揺るがす難民スキャンダル、テロリストも認定?
By Bojan Pancevski
2018 年 6 月 1 日 02:41 JST

 【ベルリン】ドイツで難民申請を巡るスキャンダルが浮上している。
アンゲラ・メルケル首相の下で不協和音の絶えない連立政権を揺るがしかねず、
連邦議会はメルケル氏の難民受け入れ政策に対する調査を開始する可能性がある。

 独検察当局によると、移民局の汚職疑惑を巡る捜査で、
難民申請の処理に数年前から重大な問題が発生していたことが判明した。

 州の検察当局はドイツ連邦移民難民局(BAMF)ブレーメン支局が処理した
少なくとも1000人の難民申請について、職員や弁護士、通訳者が共謀して
金銭と引き換えに認定を出した疑いで捜査を開始した。
中には犯罪者やテロ容疑者も含まれていた可能性がある。
これを受け連邦内務省は先週、同支局を一時閉鎖した。

 移民局の不正疑惑について全容解明を政府に求める圧力が高まる中、
今週に入り議会の内務委員会はホルスト・ゼーホーファー内相を証言に呼び出し、
数時間にわたって厳しく問い詰めた。

 世論調査各社は、疑惑が発覚したことで、
州当局が入国者の選別を放棄したとの不安が有権者の間で再燃しかねないと警告する。
そうした不安は、昨年9月の連邦議会選挙で反移民・反イスラムを掲げる政党
「ドイツのための選択肢(AfD)」が最大の野党勢力となる上で大きな役割を果たした。

 疑惑はメルケル氏の連立政権にも緊張をもたらしている。
連立相手である中道左派の社会民主党(SPD)は今週、野党が求める議会調査の実施を
支持するかもしれないと述べたが、調査はメルケル氏が2015年に決定した
難民受け入れ政策に関する公開審理に発展する恐れがある。