http://agora-web.jp/archives/2032167-2.html
この話で思い出すのは、20年前の大蔵省の「過剰接待」事件だ。あれは第一勧銀の総会屋の
事件から始まったが、1998年3月に東京地検特捜部が大蔵省証券局のS課長補佐
(福田次官の同期)を逮捕したため、問題が大蔵省の接待疑惑に拡大した。

S課長補佐は風俗店(ソープランド)に頻繁に行っており、検察がその数百万円の伝票を
入手したことが逮捕の決め手だった。当時の霞ヶ関の暗黙のルールでは、接待はシロだが現金はクロで、
女は現金と同等という扱いだったからだ。

ところが逮捕してから、この風俗の出費は自費(!)であることが判明した。検察は動転したが、
「50年ぶりの大蔵キャリア逮捕」を不起訴にするわけには行かないので、彼を213万円の接待で起訴した。
この結果、法的には他の「ノーパンしゃぶしゃぶ」などもすべて犯罪に問われる可能性が出てきた。

大蔵省は3人の幹部を懲戒免職にするなど112人を処分する代わり、刑事訴追はしないということで
検察と政治決着がはかられたが、大蔵省の業務はガタガタになり、金融庁が分離された。
その後も公務員の接待について過剰な規制が行われ、役所が「情報過疎」になった。

立憲民主党は彼の更迭を要求しているが、もし真相不明の状態で彼を更迭し、あとになって
無実だとわかったらどうするのか。無力な野党が「大事な政策論争」より「おもしろいスキャンダル」を
好むのはわかるが、こんな騒ぎをいくら起こしても野党の支持率は上がらない。