https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29775340U8A420C1TCR000/
中国、強まるネット規制の行く末 The Economist 2018/4/25 2:00

中国のIT(情報技術)企業で注目の北京バイトダンス・テクノロジーズ(北京字節跳
動科技)は、昨年末時点では世界を席巻しているかに見えた。2012年の創業以来、7億
人以上が同社のアプリを試している。精巧なアルゴリズム(情報処理の手順)によって、
個々の好みに合わせたニュースや笑える動画、インターネット・ミーム(編集注、ネッ
ト経由で人から人に広がっていく行動やアイデアなどを指す)を日々、提供するアプリ
だ。時価総額が200億ドル(約2兆1500億円)強とされる同社は、海外に進出すべく外国
企業の買収にも乗り出していた。

だが、ここへきてバイトダンスの先行きはそれほどバラ色ではなくなった。中国の国営
メディアが4月9日、規制当局が同社の主力アプリ「今日頭条(今日のヘッドライン)」
を3週間停止させたと報じたからだ。当局は、同じく同社が運営する下品な冗談を共有
するためのアプリ「内涵段子」は全面禁止にした。同アプリのアクティブユーザーは
2000万人を超えていた。当局は「その低俗で陳腐な内容」が人々の気分を害しているとし
た。創業者の張一鳴氏は2日後、自社のアプリが「誤った道」を進んでいたと認め、
「罪の意識と後悔の気持ちでいっぱいだ」とネット上で謝罪した。自分たちは「技術は社
会主義の基本的価値観に導かれるべきもの」ということを理解していなかったと説明し、
「前向きなエネルギー」を広めるべく努力すると誓った。

■ニュースのまとめサイトでは習国家主席のニュース注目されず

バイトダンスのほかにも、3社がニュースのまとめサイトのアプリを停止させられた。背
景には、利用者の好みに応じた情報だけを提供するという新技術への検閲側の危機感があ
るようだ。
当局は、共産党に批判的な内容でなくても、共産党の公式見解の拡散に役立たないニュー
スや娯楽に国民が夢中になるのを懸念しているらしい。