>>773
甘味を求めて、妹に与えるべき粉ミルクを全部自分で喰ってしまい、薄い粥の更に上澄み
の部分を与えていた。
妹は一歳四ヶ月、空腹を訴えるには泣く他はないが、野坂は泣き止ませるために頭を殴る
ことを常套手段としており、しばしば脳震盪を起こしていた。
後に野坂は、自分の妹への扱いは「まさに虐待を言うべきものであった」と振り返る。

『アメリカひじき 火垂るの墓』には「死児を育てる」という一編が収められている。
母が子を殺すシーンで幕を開ける衝撃的な内容の一編であるが、こちらの方が『火垂るの
墓』よりもよりストレートに、野坂自身のトラウマとなった「妹」が描かれているという。