>>553 続き
>一方、SPDは、CDUにも増して党内が混乱している。もともとシュルツ党首は、9月の選挙の後、CDUとの大連立はないと言っていた。
>その後、事情が変わったため、再び大連立のお鉢が回ってきたのは仕方がないにしても、もう一つの、「自分がメルケル政権で入閣することは絶対にない」という主張の方は、その舌の根も乾かぬうちに変貌していた。
>連立交渉が成立した日の夜、彼は記者会見で、党首の座をナーレス氏に譲り、自分が外務大臣に就くと言ったのだ。
>その途端、その我田引水ぶりと、さらに、大臣のポストが連立協議の陰で勝手に取引されている事実に対して、党員と国民がめちゃくちゃに怒り出した。
>慌てたSPD議員たちは仕方なく、シュルツ党首の過去のキャリアなどを褒めながら、懸命にこのおかしな人事の弁解に努めた。
>しかし、党員の怒りはあまりに激しく、嵐は収まらなかった。
>そのうち、何人かのSPD議員が、このままでは本当に党員投票を切り抜けられないと思ってシュルツ氏に圧力をかけたのだろう、二日後、もう一度記者会見が開かれた。
>その場で、シュルツ氏は自分が交渉した連立協定を自画自賛し、党員に「イエス票」を投じるよう要請した。

(中略)

>SPD党員になるには外国人でも構わない。会費は、収入が1000ユーロ以下なら1ヵ月たったの5ユーロ(約600円)だ。開票結果は3月4日に発表される。
>ティロ・ザラツィン(73歳)はSPDの元政治家であり、ドイツ連邦銀行の元理事で、簡潔で素晴らしい文章を書く作家でもある。
>2010年に上梓した『ドイツが消える(Deutschland schafft sich ab)』は大ベストセラーになった。ただ、内容が反移民だったため物議を醸し、連邦銀行の理事を辞めさせられた。
>その彼が2月12日にこう書いている。
>「メルケルとシュルツは時代から滑り落ち、その結果は次のような形で現れる。
>つまり、CDUとSPDが連立で統治をするあいだの1年、1年が、ドイツの未来にとっては抵当で、交渉能力の損失となる。
>だから一人のSPD党員として、私は来週、大連立に反対の一票を投じることになるだろう」