米イリノイ州知事選、名家からの出馬で選挙費用は最高に? (グローバルViews)
シカゴ支局 野毛洋子
2018/1/12 6:01

 2018年11月の米イリノイ州知事選挙に向けて米国の名門ケネディ家と
プリツカー家の一族から2人の民主党候補が出馬し、話題になっている。
3月の予備選を経て、共和党の現職知事の追い落としを狙う。
豊富な資金力を持つ候補者が多く、
選挙費用は米国の知事選としては過去最高になる見通しだ。現地の様子を追った。

 シカゴ市南部の黒人街。クリストファー・ケネディ氏(以下、クリス氏)の
選挙事務所が1月にオープンした。
平屋の建物の窓に「ケネディを知事に」と書いたポスターが何枚も貼ってある。
足元の悪い雪道のなかを地元住民がクリス氏に一目会おうと集まってくる。

■「いつも弱い者の味方」

 狭い会場は立すいの余地もなく熱気があふれる。
「今の政治は金持ちのためのもの。我々が変えなくてはならない」。
知事から市長まで、党など関係なしに辛辣な既存体制への批判を繰り広げる
クリス氏に大きな拍手が沸く。
そばに立っていた女性支持者が「ケネディはいつも弱い者の味方よ」とつぶやく。

 出馬したクリス氏はケネディ元大統領の弟ロバート・ケネディ氏の息子、
キャロライン・ケネディ前駐日米大使のいとこにあたる。
父ロバート氏は市民権運動の支持者として有名だ。
人種差別と闘ったキング牧師と親しく、牧師がテネシー州で暗殺された時、
その遺体をジョージア州アトランタの自宅に運ぶよう手配したという。
当時上院議員だったロバート氏と兄のケネディ元大統領はいずれも1960年代に
暗殺されている。半世紀たった今もシカゴの黒人の間でのケネディ人気は根強い。