仮想通貨と行政の勇み足
京都大学大学院経営管理研究部教授
http://blogos.com/article/273822/

「仮想通貨」とは何か。12月のブログで2回にわたって書いたが、これは現状において通貨ではない。
「通貨」と名付けられたから、誤解が生じている。単なる取引の記録に近い。
「タヌキ村のお札」みたいなものだと思えばいい。価値はかぎりなくゼロである。

1万円札など、日銀券の本質的な価値もかぎりなくゼロに近いのだが(新聞の折り込みチラシとどこが違うのか)、
価値があるとみなすように日本の法によって強制されているし、これまでは日銀がきちんと管理してきた。この点が重要である。

金融庁を中心とする日本の行政は「仮想通貨」の取引を認めてしまった。認めることが先進的な行政だと早合点したのかもしれない。
最近、主要国で「仮想通貨」に対する規制を強化する動きがある。

これに対して麻生さんが、「何でもかんでも規制すればいいとは思わない」と語ったという。このことが日本の行政の認識と今後のスタンスを象徴している。

揶揄してしまえば、行政は「貯蓄から投資へ」をうたい文句にしているものの、本心は「貯蓄から投機へ」、「投機大国へ」なのではないか。
いずれにせよ、ブロックチェーン技術とフィンテックの本流が「仮想通貨」ではないことを、国民はもとより、大臣さんらはどの程度理解しているのか。そう疑ってしまう。