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人口減でも増える労働力 18年最多へ、女性けん引
2017/12/31 1:30日本経済新聞 電子版

働く人の数が2018年に過去最高となりそうだ。人口が減少する中でも女性やシニアの労
働参加率が上昇しているためで、就業者の数は当面、増え続ける見通し。ただいずれ臨
界点が訪れ、20年代前半にも就業者の増加カーブが頭打ちになるとの観測も広がる。
今後の成長には誰もが働きやすい労働慣行づくりや、人工知能(AI)などによる生産
性向上が一段と重要になる。

主な働き手となってきた15〜64歳の「生産年齢人口」は現在、約7600万人。少子高齢化
が進み、この20年で約1割減った。主要国の中でも突出したテンポで減少が続いている。
にもかかわらず実際に働く就業者数は伸び続けている。17年は11月までの平均で6528万
人と、前年を約1%上回った。過去2番目の水準だった98年の6514万人を超えるのが確
実だ。18年も過去5年並みの伸び率が実現すれば、統計が残る53年以降で最高だった97
年の6557万人を突破する可能性が高い。

高度成長期の「いざなぎ景気」を上回る長さで12年末から続く緩やかな景気回復で労働
参加が増え、働く意思のある人のうち就業している人はこの5年で急増した。生産年齢
人口に対する比率で見ても13年に初めて8割を超え、足元では85%を上回る。

けん引しているのは女性やシニアだ。15〜64歳の女性で働いている人の割合は11月に68
.2%と5年前に比べて6.7ポイント上昇し、過去最高水準にある。経済協力開発機構
(OECD)によると、生産年齢人口に占める女性の就業率は米国を13年に抜き、主要
先進国と遜色ない水準まできた。

65歳以上の働くシニアの割合も98年以来の高さで、体力が必要で若い人を求めてきた介
護現場で働く人も増えている。すでに働く意思を持つほぼ全員が職に就ける完全雇用の
状態にある。