中国が海洋進出を強め、北朝鮮が弾道ミサイルの発射など挑発行動を繰り返し、地域の安全保障環境が厳しさを増す中、防衛省は、日本の離島への攻撃があった場合に備えて、離島防衛の強化を進めています。
防衛省は、戦闘機に搭載する長距離巡航ミサイルの導入に向けた検討を始めることになり、来年度予算案に必要な調査費を計上する方向で調整を進めています。

 ただ、自衛隊は専守防衛という、いわば「盾」、アメリカ軍は攻撃を担う「矛」の関係があるなか、長距離巡航ミサイルの保有によって、その関係に変化が生じるのではないかという懸念もあります。

 民進 増子幹事長「専守防衛の範囲内か審議を」

民進党の増子幹事長は、記者会見で「敵基地攻撃能力の保有に当たる可能性があると認識している。わが国の防衛は、
専守防衛に資する装備に限定されなければならないのは当然のことで、専守防衛の範囲内のものか、しっかり国会で審議していかなければならない」と述べました。

 立民 長妻代表代行「是非も含めて国民の前で議論を」

立憲民主党の長妻代表代行は、国会内で記者団に対し、「小野寺防衛大臣は否定しているが、日本の防衛の考え方を大きく変えるもので、
こそくな形で防衛政策を進めれば国益に反する。是非も含めて国民の前で議論することが必要だ」と述べました。そのうえで長妻氏は、
「『敵基地攻撃』と言ったときに北朝鮮に限定したものなのか、これまでの憲法解釈や国会答弁との整合性をどうつけるのかなど、実態が何もわからない中では判断しようがない」と述べました。

 希望 玉木代表「いきなりで強い違和感」

希望の党の玉木代表は、記者団に対し「日本の安全保障の方針を大きく変えることにもつながるので、なぜ、今まで説明せず、
予算編成過程でいきなり出てくるのか、極めて強い違和感を感じる。政府には明確な説明を求めていきたい」と述べました。そのうえで玉木氏は、
「敵基地攻撃能力」について、「わが国の防衛にとって、単独でやるのか、アメリカ軍とどのような協力をしていくのかといったことを総合的に考えないと判断できない問題だ」と述べました。

 共産 穀田国会対策委員長「検討は直ちにやめるべき」

共産党の穀田国会対策委員長は、記者会見で「長距離巡航ミサイルは、敵基地攻撃能力を持っているから使おうということにほかならず、
重大な問題で、検討は直ちにやめるべきだ。従来の政府解釈からいっても成り立たない話で、安倍政権の危険な憲法改悪を軍事や兵器の面からも越えていくことになる」と述べました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171206/k10011248611000.html