ヤマトにしかできなかった荷主への物言い、物流費の適正化じわり
12/16(土) 15:06配信 日刊工業新聞第ニ産業部
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171216-00010005-newswitch-bus_all

ヤマトHDでは、規模を追うことで利益を拡大してきた宅配便ビジネスモデルの転換を余儀なくされた。

電子商取引(EC)市場の成長が経営陣の想定を超えて加速し、EC事業者から安値受注した荷物が急増。
労働力の確保が追いつかず、現場では処理能力を超える荷物量に対応するため、サービス残業が常態化していた。

ヤマトHDの山内雅喜社長は「あえて言うならば“送料無料”という言い方は適切ではないのではないか」と訴えた。
サービスにはコストがかかり、適正な料金を払うことでサービスが継続でき、良い循環が生まれる。

ごく当然の論理だが物流業界では荷主との力関係から、相対での料金設定やサービスの範囲などが明瞭ではなかった。

宅配大手の幹部は「(荷主への物言いは)ヤマトにしかできなかった」と評価する。
業界全体の構造的な問題として、暗黙の約束事が見直されるきっかけになった。

11月には標準貨物自動車運送約款が改正され、荷物の積み降ろしや待機時間にかかる料金の明確化が盛り込まれた。
荷主とともに持続可能な仕組みを考える一歩を踏み出した。

「労働力問題を解消するのは、どう生産性を上げるかだ」(物団連の田村会長)。
国内貨物量が減る中でトラックの台数は増え、積載率も悪化が進む。18年は生産性改善が待ったなしだ。