キャッチフレーズ、おうむ返し 使い回し皮肉る
http://mainichi.jp/senkyo/articles/20171013/k00/00e/010/188000c

 「リセット」「ブラックボックス」−−10日公示の衆院選(22日投開票)の街頭演説で、「小池語」が飛び交っている。
希望の党の小池百合子代表(東京都知事)のキャッチフレーズだが、安倍晋三首相(自民党総裁)らが対決姿勢を示す文脈でも使う。
「小池語」以外にも「一見民主党」「まっとうな政治」などの言葉が目立つ選挙戦となっている。
 「私たちはリセットとかのスローガンで選挙に勝ったんじゃないんです。デフレ脱却で経済を成長させ、国民を豊かにする政策を掲げた」。
首相は12日の新潟県上越市の演説で、2012年の政権交代を振り返ってこう強調した。11日の演説では、改善した経済指標を列挙。
「今、これをリセットするわけにはいかない」と訴えた。選挙後の関係構築を視野に小池氏の批判は避けるが、「小池語」を逆手に対決姿勢を強める。
 その首相が持ち出すのが「愚直」だ。10日の第一声で「愚直に政策を訴える」と強調。遊説でも繰り返す。ただ、
憲法改正や森友・加計学園問題について自身から言及する場面はない。
 菅義偉官房長官は、民進党前職らの希望の党への合流批判で「ブラックボックス」を用いる。もともとは小池氏が自民党都連批判で用いた。
菅氏は「一夜にして野党第1党が自分たちの看板政策を大転換してしまった。ブラックボックスではないか」と訴える。
 発信源の小池氏も自らのフレーズを活用。11日の盛岡市の演説では、首相の衆院解散判断を「加計・森友疑惑から逃れるための安倍ファースト解散だ」と批判。
同日の仙台市では「都政のブラックボックスをこじ開けた小池が、今度は国政のブラックボックスをこじ開ける」と宣言した。党勢失速を招いた「排除」は街頭演説では用いていない。
 公明党の山口那津男代表は都議選で協力した小池氏の批判を避け、矛先を主に立憲民主党に向ける。12日の埼玉県上尾市の演説では、枝野幸男代表が
菅直人政権の官房長官だったことを挙げ、「菅さんが顧問で、まるで民主党政権そのもの。私は『一見民主党』と言っている」と指摘した。
 立憲民主が政策集の表紙に掲げる「まっとうな政治」も争奪戦の対象だ。共産党の志位和夫委員長は10日の第一声で「憲法を守るまっとうな政治を取り戻そう」と共闘をアピール。
安倍首相も10日に「まっとうな政治を作っていく」と言及した。首相は12年衆院選で「まっとうな政治を取り戻す」と繰り返し、「本家」意識もありそうだ。【円谷美晶、遠藤修平】