GDP、各国かさ上げの動き 基準変更 日本は4.2%増
2016.9.23 05:00
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/160922/mcb1609222152032-n1.htm

世界経済がリーマン・ショック後の低成長に苦しむ中、各国に国内総生産(GDP)かさ上げの動きが広がっている。
各国とも研究開発費や戦車、艦艇購入費の投資への加算を認めた新国際基準の導入を進めており、
それぞれ名目GDPが1〜4%ほど押し上げられる見通しだ。
ただ、欧州では、麻薬取引や売春といった「地下経済」を取り込む動きもあり、やみくもなGDP拡大を疑問視する声も上がっている。

世界各国が導入を進めているのは、国連が2009年に採択した算定基準「2008SNA」だ。

日本は16年7〜9月期のGDP改定値から採用。
内閣府は今月15日、新基準の採用で、11年の名目GDPが491兆4000億円と、旧基準の471兆6000億円から4.2%加算されると発表した。
導入済みの国で大きく増えたのは米国(3.0〜3.6%)で、中国は7月、15年のGDPが1.3%上乗せされると明らかにした。

押し上げの大きな要因は、付加価値を生む投資として重視されるようになった研究開発費が設備投資に組み入れられたことだ。

 ■国連の新基準導入による名目GDPの押し上げ効果
      (導入年/GDPの増加分/うち研究開発費分/うち防衛装備品分)
 日本   2016年/4.2%/3.5%/0.1%
 豪州   2009年/1.3〜1.7%/1.0〜1.4%/0.1〜0.3%
 カナダ  2012年/1.7〜1.8%/1.2〜1.3%/0.1%
 米国   2013年/3.0〜3.6%/2.2〜2.5%/0.5%
 フランス 2014年/2.4%/2.2%/0.2%
 英国   2014年/1.6〜2.5%/1.4〜1.6%/0.2%
 ドイツ  2014年/2.7%/2.3%/0.1%
 ※内閣府の資料より作成。影響試算の対象年は国ごとに違う