過去10年間で日本の科学研究は減少傾向だが、トップ引用論文は健在 :Web of Science?の分析で明らかに
〜コンピューターサイエンス、分子生物学・遺伝学、免疫学など11分野で落ち込むも、世界レベルの研究は特定分野で顕著〜
http://ip-science.thomsonreuters.jp/press/release/2017/2017-03-22-Despite-Japans-stagnant-science-output-during-the-past-decade-citation-impact-at-top-end-remains-strong-Web-of-Science-insight/

2017年3月29日(日本時間)
米国フィラデルフィア発

2005年から2015年の10年間で、日本では、11分野で論文数が減少しました。
宇宙科学においては平均値を超える研究活動が確認できたものの、材料科学や工学では10%以上減り、生物学・生化学、分子生物学、コンピューターサイエンス、さらには免疫学と、従来日本が「強い」とされてきた分野での研究活動は全体として停滞していると言えます。

しかしながら、Web of Scienceに付随する分析ツール、InCitesTMを使ったデータでは、依然として日本には世界レベルの研究者が多くいることがわかります。

過去10年間にわたって日本の総論文数に対するTop10%論文の割合は安定しており、 また、Top1%論文の割合は2000年から比較すると1.25倍になっています。

クラリベイトが毎年発表する「引用栄誉賞(ノーベル賞予測)」には、日本人も多く選出されています。
北川進氏(京都大学)の多孔性金属-有機骨格に関する研究、十倉好紀氏(東京大学)のマルチフェロイック、および超伝導化合物の発見を含む強相関電子酸化物に関する研究、春田正毅氏(首都大学東京)の金の触媒作用に関する研究などは、
著しく被引用数が高く、ノーベル賞クラスの研究として本賞に選出されており、日本が世界をけん引する研究分野といえるでしょう。

クラリベイトの「引用栄誉賞(ノーベル賞予測)」を手掛ける引用アナリスト、デービッド・ペンドルベリーは、
「論文数や被引用数のデータを様々な角度から注意深く分析することで、科学技術政策や研究資金の配分など、弱点を知り、強みを伸ばすための重要な戦略決定の資料とすることが可能」だとしています。


> Top1%論文の割合は2000年から比較すると1.25倍になっています。