中国の野望助けるハリウッド、制作現場にも影響
制約に縛られても、中国抜きでは立ちゆかず
By Erich Schwartzel
2017 年 4 月 20 日 08:58 JST 更新

 【ロサンゼルス】米国で2月に映画「グレートウォール」がプレミア上映されたとき、
2つの超大国のバランスを図るために腐心する様子が見てとれた。

 主演のマット・デイモンは共演した中国人女優、景甜(ジン・ティエン)とともに
レッドカーペットを歩いた。張芸謀(チャン・イーモウ)監督は共同制作会社の
米ユニバーサル・ピクチャーズと中国の複合企業、大連万達集団(ワンダ・グループ)に
謝辞を送った。イベント後のパーティでは中国風に味付けされた鳥肉料理がふるまわれた。

 同作品の興行収入はやや期待外れとなっているが、太平洋を挟んだ米中映画業界の
協力体制が揺らぐことはないだろう。ハリウッドと中国はいまや密接に結びつき、
映画産業は中国抜きでは立ちゆかなくなっている。

 中国の投資家や10億人超の潜在的な映画ファンは業界にとって不可欠だ。
2016年の中国の興行収入は総額66億ドル(約7160億円)で世界2位。
首位の米国は114億ドルだが、アナリストは数年以内に中国が追い抜くと予想する。
米国興行収入はほぼ横ばいで推移している一方、中国では2011年以降、3倍に急伸した。

「中国は10年前には眼中になかった。今では中国なしでハリウッドが存在できないほどだ」

 米パラマウント・ピクチャーズの元制作責任者、アダム・グッドマン氏はこう話す。
同氏が現在経営する映画制作会社は、北京のハイテク企業、楽視(Le Eco)の支援を
受けている。