>>41 《続き》
 【西尾】 似たようなことは拉致問題で既にみられていました。第一次安倍内閣ができた時―首相がコントロールされた訳ではないですが―
保守はみな安心して、あれほど口で言っているのだから彼が何かをいてくれると信じ、拉致問題は潮を引くように退潮してしまいました。
        ・・・(略)・・・
 【西尾】 そこで、今度、安倍さんにあえて聞きたいのは、なんで北岡伸一氏を、戦後70年談話の有識者会議の座長代理、実質的な代表に
したのかということです。
 【中西】 北岡人事は途中で差し替えられたようです。当初は別の方だったのが北岡氏に差し替わった。最近分かってきたのは、在日米国
大使館と外務省の意向だったという話ですね。しかも2015年2月の発足時から、「70年談話」だけでなく、慰安婦をめぐる日韓合意、オバマ
大統領の広島訪問、安倍首相の真珠湾訪問が全部セットで計画されていたのではないかという話も、永田町関係者や複数の大手メディア
の人たちから聞きました。
 【西尾】 すべてがアメリカのシナリオ通りですね。
 【中西】 ちなみに北岡氏はいつも、日本の侵略を認めない歴史家はいない、と言います。で、例えば西尾先生の名前を挙げたら「西尾氏は
歴史家ではない」というんです。これでは議論にならない。問題はそのように誰が見ても問題の多い北岡伸一という学者出身の外務省関係者
を、なぜ安倍政権が繰り返し起用するのか。第一次安倍政権の「日中歴史共同研究」で日本側の座長、第二次政権でも安保法制を決めた
「安保法制懇」の座長代理つまり実質的座長も彼。防衛大綱を決める中期防も彼が座長だった。そして「70年談話」の有識者会議も
実質的座長だった。
 【西尾】 アメリカが合意している日本の選ばれた知識人なんだよね、きっと。
 【中西】 日本の知識人としては「安保右派かつ歴史左派」でないとアメリカは認めないんです。安保右派とは、日米同盟の緊密化を唱える
論者。歴史左派とは、戦前の日本は侵略国家だったと断言する東京裁判史観を信奉する人たち。この両方に合致しないと、日本の政治家や
学者はワシントンの官僚たちのお眼鏡にはかなわない。
 【西尾】 うまい定義の仕方だな。でも、結局はアメリカに操られる人ってことですよね。
 【中西】 彼らは本質的に左派です。祖国の過去を他国から言われるがまま安易に断罪するような人物は、たとえ安保タカ派であっても、
日本の保守ではない。歴史観こそがその人の思想的立場を決めるものです。安全保障にまつわる思想や政策は、時々の情勢によって変化
する。それはいわば方便の話に過ぎませんから。安保右派でも歴史左派ならトータルに言って左派ですよ。
 【西尾】 私は、北岡さんに向かって言ったことがあるんです。あなたは戦勝国アメリカの歴史観に洗脳され、ルーズベルトと蒋介石が握手
していた時代の「正義の観念」で戦前の日本を見ている。彼は黙ってましたけど。
 【中西】 馬の耳に念仏だったんでしょう。
 【西尾】 結局GHQ史観、アメリカ占領軍の言うままに操り人形のごとくに生きている人ということでしょう。それはしかし、半藤一利もそうだし、
保阪正康もそうだし、そしてほかにもまだいっぱいいるんだよ。加藤陽子なんてのもそうですから。