中国で競泳界の「新世代のトビウオ」と称されていた18歳、陳欣怡がドーピング検査で利尿剤「ヒドロクロロチアジド」の陽性反応を示したことについて、
中国のインターネット上では12日、南シナ海問題などで反目する米国や日本、フィリピンなどの“陰謀”との声が噴出する一方、組織的なドーピングへの疑念も生じている。



 中国メディアによると、陳は1998年1月2日、上海で生まれた。4歳のときに水泳を始め、小学1年で地域の有力チームに入った。

 最初の転機は小学3年のとき。足の大きさが23・5センチあった陳に科学的な検査を受けさせたところ、将来は175センチ前後まで身長が伸びるとの結果が出た。そこから“強化選手”に指定され、めきめき頭角を現したという。

 小学時代に中国国内の大会で獲得した金メダルは86個を数える。2013年の全国大運動会では女子50メートル自由形、100メートル自由形、400メートルリレー、400メートルメドレーリレーの4冠を達成した。

 2014年仁川アジア大会では100メートルバタフライで金メダル獲得した。昨年、ロシア・カザンで行われた世界選手権にも出場して世界ジュニア記録を更新し、「新世代のトビウオ」の称号を得たという。

 期待の新星に降りかかったドーピング疑惑について、中国のインターネット上には
「18歳の女の子には明るい未来がある。どうして自ら禁止薬物を服用することなどあろうか」「正常な思考を持っていれば、誰が試合の前に禁止薬物など服用するだろうか」などと、検査結果を否定する声が寄せられている。

 さらに、南シナ海問題やリオ五輪競泳での孫楊(中国)とオーストラリア選手との中傷問題、国旗の間違い問題などを念頭に、
「米国やブラジル、フィリピン、オーストラリアなど、西側の邪悪勢力が手を組んで、われわれの少女に毒を盛ったに違いない」と被害妄想に陥っている投稿者もいる。

 また、「米国や日本、韓国、フィリピンの陰謀だ。国家体育総局は(検査結果は)違法で効果がなく、中国は承認しないと厳正に表明すべきだ」と煽る意見もある。

 もっともこうした意見は、南シナ海で中国が一方的に主張する領有権を否定した、オランダ・ハーグの仲裁裁判所の裁定について受け入れず、国際社会で孤立する中国政府を揶揄(やゆ)している可能性もある。
ただ、中国国民が当局に不信を抱いていることは間違いない。

 ある投稿者は「西側のドーピングは個人によるもので、中国とロシアは系統だったドーピングだ。それが最大の違いだ。中国の五輪金メダリストのさ3分の1はドーピングの産物だ」と主張。
「選手に罪はない。根源は国家体育総局にある」と、中国国内からも組織的なドーピングが疑われている。(五輪速報班)

http://www.sankei.com/rio2016/news/160813/rio1608130017-n1.html
http://www.sankei.com/rio2016/news/160813/rio1608130017-n2.html