「陰謀論」というレッテル張りは、しばしば他人の詮索を免れる方法として多用される。

例1
「鈴木君の上履きを隠したり、教科書に「氏ね」と書いたのはお前だろう?」
「先生、そんな根拠のない主張は「陰謀論」です。このクラスにいじめはありません」

例2「加藤君の作業服を隠したり、リストラ匂わせて散々に脅したのは、自発的に退職させるための作戦だろう?」
「T自動車もK自動車工業も労働者を愛してます。そんな間抜けなイヤガラセなどしません。陰謀論はやめてください。事件は本人の資質の問題です。」

陰謀の存在を語る人間、信じる人間は馬鹿だという雰囲気を漂わせることで、人間の自尊心に訴えかけて言論統制の効果を達成することが可能である。
政府や諜報機関などが、カウンター・プロガンダを用いる際には専門家や大学教授など権威者を利用して、疑惑を消し去るための言論活動を展開させることは常套手段である。
陰謀論のレッテル張りを行うと、非科学的な妄想と、検証に値する矛盾点の指摘とを区別しないことで、一括してゴミ箱に放り込むよう人々を仕向けることが出来る。
さらに高等な言論統制方法としては、陰謀を指摘する側(A)と、その指摘を「陰謀論」として排除する側(B)の双方に 工作員を送り込み、
Aにおいて攻撃しやすいほどに破綻した主張を紛れ込ませて、それをBからさかんに攻撃させて、A陣営の信憑性を全体的に落としめるという、手の込んだ方法がある。
この方式は社会工学的に実地に研究されて膨大なノウハウが蓄積されており、世界の諜報機関が工作員に学ばせるいわゆる「クラッシュ・コース」(破壊工作コース)では、このような両面作戦は、謀略宣伝工作のイロハのイとして教育している。
具体例として、「陰謀論というラベル張りをする人間の、バックグラウンドを疑え」という方式がある。
さらに簡単な方法として、「火のないところに煙はたたない」という伝統的な格言を思い出すだけでも、中立的な視点を保つことができる、といわれている。