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連載預金封鎖――日本人が知っておくべき最悪のシナリオ【第3回】

国家が「自国民の財産」を没収する6つの方法

石角 完爾2016.10.14預金封鎖インフレ財政問題


今回は、国家が国民の財産を没収する上で、歴史的にこれまで用いられてきた手段について見ていきます。※本連載では、
元通産省官僚で現在は国際弁護士として活躍する石角完爾氏の著書、『預金封鎖』(きこ書房)の中から一部を抜粋し、著者が想定した「最悪のシナリオ」を通じ、日本の危機的状況を考察します。

国民の財産を奪ってきたのは「外国」だけではない。ある国の国民が命と財産を奪われる事態は、2つの事態に歴史上分類されている。

一つは、外国に戦争を起こされて外国が攻め入ってくるということである。この場合には、外国によって直接命と財産を奪われる。
ところが、じつは国民が命と財産を奪われているのは、自国の政府による場合が非常に多いことに歴史家は気づいている。

ある国の政府が自国民の命と財産を奪う方法は、いくつも歴史上用意されている。第1の方法は、その国の政府が他国に戦争をしかけて、その戦争に自国民を徴収する兵役である。そして戦場で自国民が戦死する。


■政変や革命があれば「紙くず」になってしまう国債

国家が国民の財産を奪う第3の方法は、国債発行という方法である。

国家が国債を発行し、その国の国民が国債を買う。国債を買った国民は、単なる国債証文という紙きれを手にするだけ。将来、何らかの事情で国が国債の償還に応じなければ、財産を奪われるも同然となる。
この場合、国債の期限が長いものがリスクが高い。ローマ教皇の出した4万2000年債や、近代国家でも30年債(アメリカ)、50年債(フランス、カナダ)、100年債(メキシコ)、永久債などはリスクが高い。