>>270

「どうしたのかりん、改まって話だなんて?」
「うん…お姉ちゃんにはちゃんと伝えておかなきゃって…」
「そんな緊張しなくてもいいわよ姉妹なんだし、そういえば最近よくこっちに遊びに来てるわね。もしかしていい人でも見付けちゃった?」
ほんの軽口のつもりだったけど何となく解っていた。
妹がこうして言い辛そうにしている時はいつだって私に後ろめたい気持ちがある時だったから…
「お姉ちゃん、あのね…私プロポーズされたの…」
「あ、あら…おめでとう。………私の可愛いかりんにプロポーズするだなんて中々見所があるじゃない。」
予想より進んだ話で動揺しちゃった…そうよね私達もそろそろそんな年齢よね…
「私なんかでいいって言ってくれて凄く嬉しかったんだけど…でも私どうしたらいいか分からなくて…お姉ちゃん私どうしたらいいかな?」
私だって未婚なのにそんな事聞かれても…
「そんなのはまずはかりんの気持よ!お相手の方はあなたがいいって言ってくれたんだから後はかりんがどうしたいかを伝えないとダメじゃない。」
姉として尤もらしい事を言ってはいるが私もプロポーズされたらきっと動揺しちゃうと思うわ。
「私の気持ちか…うん、お姉ちゃんありがとう。私このお話受けることにするね。私一人だとどうしたらいいか分からなかったけど、やっぱりお姉ちゃんに相談してよかった。伊達にWEBラジオで相談室やってたわけじゃないみたいだね。」
「もう調子がいいんだから、でも姉より先に妹が結婚するだなんて私はフクザツだわ。で、かりんのお相手はどんな人なの?」
「え?言ってなかったっけ?」
妹が次の言葉を放つ前に私は急に何か決定的な何かを間違ってしまったような焦りを感じてしまった。
そうだ妹は私に言い難いはずの相談をしそうな雰囲気だったのだ、その先を聞くと私はもう戻れなくなるそんな確実に来るであろう予感が私の血の気を引かせた。

「お姉ちゃんのプロデューサーさんだよ。」

そう告げた幸せそうな妹の笑みは…私には悪魔の嘲笑にしか見えなくなっていた。