梶田氏:
 さて,そのうえで核心に切り込むことをお許しください。率直な話,良くなったとはいえ現在の「FGO」は
2〜3世代前の兵器を無理やり近代化改修して使い続けているようなイメージがあります。ぶっちゃけてしまえば,
ゲームとしてのシステムが明らかに古く,それが誤魔化しきれない段階まできてしまっていると感じます。奈須さんは,どう思われますか?

奈須氏:
 それはまさに事実です。旧世代のシステムに改修を積み重ねた結果,いまや九龍城のように歪な存在になっています。
それを修正するためには,積み上がった城を完全にブッ壊してイチから再構築しなければなりません。
 ……しかし,それは規模的に不可能です。今の我々にできるのは,プレイヤーさんに「それでも面白い」と言ってもらえるようにすること。
システムが古くとも原始的な“ゲームの喜び”を絶やさなければ,面白さを積みあげていけると信じています。

梶田氏:
 さらに突っ込ませていただくと,奈須さんが“ゲームらしいゲーム”を目指している一方,
現状の「FGO」は素材集めやイベントでゲーム性のない周回を繰り返す,良くも悪くも“スマホゲーム”としての一面が強いですよね。
その矛盾については,どうやって気持ちに折り合いを付けているのでしょうか?

奈須氏:
 システムを先に固めた以上,周回で素材を集めるという基礎構造は変えられません。また,そこにアドリブ性を加えるのも難しい……。
現状では,サーヴァントへ注がれた“愛情”を“成長”という結果として返す。これを付加価値として,ひとつの落としどころとしています。

梶田氏:
 ……本音のところは?

奈須氏:
 それはもう,本来ならキャラクターを操るだけで楽しめるゲームになってほしい。そうなれば,自分も楽ができます(笑)。