実はセガは既にD2から離れており、  
山田は一人でD2の企画運営から開発までをこなさなければならなかった。  

「全然わからないんよ…」  

分厚いインフラ設計書、gitへのログイン情報が記載された一通のメール、  
チャットログ等から、D2の内部を解析し、保守、運営、さらには新たなコンテンツ開発をしなければならない。  
また、定期的にメディア露出し、情報の発信をしていくというのもプロデューサーとしての大切な仕事である。  

「はやく、はやくしないと、みんなが待ってるんよ…あっ!」  

セガから渡された告知テンプレートをコピペした結果、サカつく用の告知を出してしまう。  

「うっ…ううっ…!」  

山田の目から大粒の涙がこぼれる。  
この一ヶ月、D2に期待していた沢山のユーザーが徐々に落胆、失望し、去っていった。  
待って欲しい、もう少しだけ待って欲しい。  
その思いは誰にも届くことはなかった。  
山田は一人でサーバールームに閉じこもり、ルーターに刺さった大量のLANケーブルを眺めて仕事をしている感を出すのだった。